工業高校の課題研究で作った三輪バイク
2014.2.7の記事をリライト
ちょっと前の写真を見ていたら「こんなん作ったなぁw」という写真が出てきました。
完成車両 150ccのロビンエンジン搭載、ベルト駆動の3輪バイク。
21世紀だというのにサイドバルブ式の汎用エンジンを無理矢理積んでみました。
これは学校の「課題研究」という授業で作った車両で、3年生になったら今までの実習の集大成になるようなものを1年かけて取り組む授業の中で作ったものです。
これは僕が講師2年目(実習助手)の時に化学科の生徒たちとともに作ったものです。
ベース車両はキックスケーター。
これは生徒の家の裏に放置してあってサビサビのゴミみたいなものを拾ってきて磨きました。
最初の作業はひたすら錆び落とし。
バラせるだけバラしてひたすら磨いていく地味な作業です。
ボールベアリング(軸受け)なども分解してグリスアップ、本当なら消耗品は購入しますが「できる限りお金を使わない」をコンセプトに時間と手間をかけました。
フレームは3本からなっているので、エンジン+人間の重さを考慮してフレームを溶接で追加。
(フレーム内部のサビも考えられるため、さらにサブフレームを追加)
アメリカン風に乗りたいということで3輪にし、タイヤはスクーター用を装着。
フロントタイヤはキックスケーターのまま。
タイヤは細くて安定しないし、ブレーキはフロントのみだけど見た目だけでほぼ効かない。
シートはキックスケーターに付いていたものを加工。
ロビンエンジンの純正マフラーだと太ももに排気があたるのでマフラーをオリジナル製作。
長く後方までもっていき竹槍2本出し。(この辺が田舎の工業高校っぽいw)
1本から2本に分ける部分の加工がなかなか難しかったです。
このロビンエンジンにはクラッチ機構が無いのでエンジンをかけた瞬間に走り出してしまいます。
そこでベルト駆動にして、ベルトにプーリーを押し当てることで走り出せるような機構で作りました。
エンジンかけた時はプーリーが空転→左脚のレバーを踏み込むともうひとつのプーリーが動き、空転しているプーリーに引っ掛かっているベルトにテンションをかける→空転しているプーリーにベルトが当たり、その動力が後輪のプーリーに伝わり発進できる。
150ccのトルクがすごくてプーリーはほぼ空回りでスピードはあまり出ませんでした。
(安全でよかった)
でも摩擦熱によりベルトとプーリーの食いつきが良くなり、MAXスピードは時速40kmくらい出るようになりました。
ハンドル切れば倒れそうになるし、ブレーキあっても効かないからただ危険なだけ(爆)
「走る、曲がる、止まる」のうち「走る」しかできない乗り物。
そんな不器用なトライクだけど、この見た目はなかなかカッコよくて好き。
マフラー部分に足が触れると危険なのでアルミ板でマフラーガードを作製。
黄色いロビンエンジンは可愛らしいので、タンクとカバーを黒に塗装しました。
ブラックとシルバーでまとまっていてイカツイ雰囲気だね♪
製作費は新品のプーリー1つとベルトの購入で3~4千円くらい。
全3つのプーリーのうち、1個は製作が間に合わず購入することになりました。
それ意外は廃品と余っている材料で仕上げたっていうのがうちの班のすごいところだと思う。
完成後は製作班の皆で乗ったのだけれど、あまりのトルクにベルトの消耗が激しい!
最後の人が乗り終わった時にはかなり細くなっていました。
化学科3年生の1年間の流れ
4月
製作したのは「化学科」なので、最初はロビンエンジンの分解と組み立てから始め、エンジンの動く原理と構造を理解する。
5〜6月ごろ
4台ある不調エンジンから使える部品を集めて1つの「それなりに動くエンジン」を組み立てる。
夏頃
拾ってきたキックスケーターの分解と錆び落とし。
秋ごろ
補強パーツの材料切り出しと溶接。 旋盤にてプーリーの削り出し。
鉄パイプからマフラーの製作。アルミ板の曲げ加工と穴あけ加工でマフラーガードを作製。
この辺でもう冬休みに入ってしまい、発表まで時間が無いので僕がが実家に持ち帰り。
1〜2月ごろ
駆動部分の製作(うちの父) 冬休み終わってガソリンタンクとカバーの色塗り。
全体の組み立てと調整。
そして試走 課題研究発表
1年目は課題研究に関わることが無かったので、2年目で初めての課題研究でした。
1年かけてアイデアを形にしていく作業はなかなか難しかったけれど、出来上がった時の嬉しさもかなり大きかったですね♪